
幸せの連鎖16,7,3
5月の下旬に、O様より電話を頂き、ご宿泊の予約を頂きました。少しお話をお伺いしますと、
昨年もこの時期にお泊り頂いたとのこと。今回は、結婚が決まったことと、彼女の
誕生日を兼ねて、「思い出の菊乃家に」とお話が進んだようでした。
そして時が過ぎて、昨日、ご宿泊の日が参りました。
ご夕食時には、彼からのオーダーでありました、誕生日ケーキをサプライズで。
いつも、スタッフ一同でハッピーバースデーをアカペラで合唱し、お祝いしているの
ですが、昨日は、この日のために、少しピアノが弾けるスタッフが、一生懸命練習し、
ピアニカで伴奏を。詰まり詰まりの演奏でしたが、レストランでお食事をされていた、
周りのテーブルの皆様と大合唱となり、彼女にとても喜ばれました!
その後、食べきれないケーキを、お二人は、歌を歌って下さった皆様に、お分けになりました。
更に更に、ケーキを頂かれた横のテーブルのお客様は、「ケーキのお礼に」と、売店で、
夫婦箸と箸置きをプレゼントされ…。その姿に心を打たれた女将は、またそのプレゼントを
された方に、ホテルからのささやかな贈り物をし、という、「幸せの連鎖」があったのです。
もう20年ほど前になるでしょうか、「ペイフォワード」という映画を見たことがあります。
何か人に良いことを受けたら、次の人にお返しとして良いことをする…、そして世の中を
良いことばかりにしよう、というような内容だったと記憶しております。
昨夜の菊乃家のレストランは、正に「ペイフォワード」。しかも、「良いことをしよう」と
いう「決まり」でやった訳でなく、「良いことをして差し上げたい」という皆様のお気持ち
で起こったことでした。長くホテルマンをしておりますが、こんな時間を過ごすことは、
本当に稀なんです。
昨夜は、「いつもいつも、そんな雰囲気が漂うレストランでありたいな」と思った
ひと時を過ごさせて頂きました。
ちなみに、ホテルは最後の最後に、ほんの少しのサプライズを用意させて頂いておりました。
それをレストランの席でご覧になられた彼女からは、大粒の涙が…。
ほんとうに、幸せな時間を過ごして頂いたんだろうな。チェックアウト時、私の手を
握り締めて下さったご様子で、そのことを強く感じました。
O様、お幸せに!そしてまた来年も宮島の宿ホテル菊乃家へのお帰りをお待ちいたして
おります。